2024年、(独行)福祉医療機構の助成を受けてスタートした取り組みです。
摂食障害のことをよく知らない方や、中学生・高校生でも、手に取りやすくわかりやすい啓発図書を制作し、2024年度は、全国の私立・国公立すべての高等学校や中高一貫校、高等技術専門校(約5000か所)、全国すべての保健所(約500か所)等に配布しました。
これに並行して、各地の支部やサポーター、その他の協力団体の参画を得て、それぞれの地域でも、啓発図書の配布やマゼンタリボン及びリーフレットの配布活動などに取り組み、これら全体の活動を総称して「摂食障害全国一斉啓発キャンペーン」と呼び、PR活動に取り組んでいます。(2024年度は11月~2月まで)
この活動を通じて、自分の住む地域で活動する多様な分野の支援者が、摂食障害を知り、関心を寄せることで、くまなく支援のネットワークが構築される一助になることを目的としています。
活動の様子は、インスタグラムで公開しています!>https://www.instagram.com/magentaribbon_campaign/
2021年より、本部を担う私たち「愛媛県摂食障害支援機構」では、予防や早期発見、症状発生初期でのケアを推進するため、教育委員会のご理解とご協力を得て、愛媛県内の子どもたちにアプローチするプロジェクトを実施しました。県内の小中学校、高等学校の先生や、すべての高校生を対象に、摂食障害についてのパンフレットやポスターを配布する活動を、3年間にわたり実施しました。
私たちは以前、2019年に松山市内の小中学校および愛媛県内の高等学校にパンフレットやポスターを配布しました。そのとき、反応があったのは子どもたちだけでなく、先生や親からも「実は自分は摂食障害なのです」という声がひそかに寄せられました。小中学生、高校生にアプローチすることで、その親世代も当事者のボリュームゾーンであることが見えてきました。
そのため、子ども世代に複数年度にわたり、くまなくアプローチすることで、摂食障害を発症しやすい世代と、摂食障害を抱えたまま大人になった世代の両方に接点を持ち、社会を変えていくプロジェクトを行いました。
実施した3年間で、子どもたちや教育関係者、保護者にダイレクトに届けるということの重要さはもちろん、子ども世代を中心にアプローチすることは、子どもに関わる人たち以外の地域社会にも影響を与えることができることを知りました。また、学校の現場では、医療従事者が抱えるものとは違う疑問や課題を抱えていることがわかりました。
この活動は、その後、上記の「摂食障害全国一斉啓発キャンペーン」に移行し、全国に向けて啓発活動が広がっています。
並び順は順不同です。今年も愛媛県下20の市町と愛媛県の教育委員会を訪問させていただきました。
皆さんから、変わらぬご支援とご厚情を頂きました。ありがとうございました!
並び順は順不同です。愛媛県下20の市町と愛媛県の教育委員会を訪問させていただきました。
愛媛県、各市町の教育委員会の皆様には、あたたかく受け入れて頂きました。ありがとうございました!
並び順は順不同です。愛媛県下20の市町と愛媛県の教育委員会を訪問させていただきました。
松山市教育委員会 教育研修センター主催「松山市健康教育研修」として、市内小中学校の先生方を対象に、講演をさせて頂きました。
この取り組みは、低年齢化が進みつつある摂食障害の早期発見のため、子どもたちと接する機会が多い先生方に摂食障害のことを知って頂くために行われ、昨年に引き続き2回目の開催となりました。
今年の講義はオンラインで行われ、参加された先生からは、
・実際に拒食症と診断された生徒がいる。自分に何ができるのか、悩んでいた。本人、保護者ともっと腰を据えて、色々な話を聞きたいと感じた。
・摂食障害が発症する根本となるこころの問題は、周りの支えや理解が解決の糸口になると思った。
といった感想が寄せられました。
摂食障害の回復には、本人の”生き方”や”どのように生きていきたいか”という思いに対する寄り添いを根底に、愛情を持った支援・援助を継続的に行うことが不可欠です。
そのため、ただ単に「病院にかかりさえすれば治る」「入院さえすれば治る」「薬さえ飲んでいれば治る」というものではありません。
上記のような回復に必要なノウハウを知らないがために、摂食障害を”単なる”「病気」だとして、医療のみにすがった結果、多くの当事者や家族が「病院嫌い」になってしまっているケースが見られるのは、このためだと考えます。
医療分野ができること/できないこと。
福祉分野ができること/できないこと。
学校現場ができること/できないこと。
家庭で(家族が)できること/できないこと。
職場ができること/できないこと。
経験者が(自助グループが)当事者にできること/できないこと。
いま一度、本来の役割分担を見直し、地域の人にも摂食障害を理解してもらい、助けてもらえる地域になるよう働きかけていくことが大切ではないかと考えます。
そのように、摂食障害のことをみんなで一緒に考えてもらえる社会は、人々の生き方を一緒に見つめなおせる社会であり、結果的にだれにとってもよい社会であるといえるのではないでしょうか。
このプロジェクトは、そうした地域の力を育むことを目的としています。
〔はっちゃんプロジェクト〕の「はっちゃん」とは、代表の鈴木が、摂食障害で苦しんでいるときに出会い、回復のきっかけをくださった恩人です。
鈴木には、この「はっちゃん」だけでなく、周りの様々な人に恵まれ、何人もの「はっちゃん」に、今でも助けてもらっています。
重度の摂食障害だった鈴木を支え、理解してくれる人が、これほどいてくださったということは否定できない事実です。
今、摂食障害で困っている方の中にも、実はそうした力添えをしてくれる方がどこかにいるはずです。
そして、その関係はまだ眠っているだけで、必ずたくさん存在していると、私たちは信じています。
どなたが、どんな方に救われることになるかはわかりませんが、そうした土壌づくりをしていくことが、マゼンタリボン運動の使命だと考えています。
”専門家”と呼ばれる方でなくても、社会の中には、年の功を得たり、様々な人生経験を経て、摂食障害の本質を見極め、寄り添い、共に歩もうとしてくれる人たちがたくさんいるはずです。もしかしたら、そんな人たちによる”専門家”ではできないアプローチにより、当事者が救われることがあるかもしれません。
社会の中に「はっちゃん」がどの程度いるかは全くの未知数ですが、摂食障害への認知や理解が深い地域を育む、この〔はっちゃんプロジェクト〕は、可能性にあふれていると考えています。
また、当事者や家族が「病院嫌い」になった理由は、けして本人の自己責任だけに帰結されるものではないと考えています。
それは、今まで、摂食障害の本質をケアできる社会(または地域、時代)ではなかったから、かもしれません。
しかし、一度「病院嫌い」になってしまうと、当事者は病院に行くことが無くなります。
その結果、統計データ等にも反映されることなく「公的には存在しない人」として扱われてしまいます。
そういう人たちが見過ごされたり、見放されれたりすることがないよう、セーフティネットがある社会を作っていきたいと願っています。
だからこそ、これは、とてもチャレンジしがいのあるプロジェクトです。
摂食障害の症状を抱えたまま、妊娠・出産をすることは、母体のみならず、生まれてくる子どもにも様々な影響があると、近年の研究でわかってきました。
具体的には、早産や小頭症、妊娠合併症などの出産時に現れる影響と、生まれてきた際に低体重児であることから、将来、生活習慣病になるリスクが通常よりも高くなるという研究がなされています。
そこで、2021年以降、愛媛県本部では、産婦人科医院に対し、摂食障害についての理解を促進するため、リーフレットをお送りする取り組みを始めました。
まずは、産婦人科関係者に摂食障害のことを知っていただきます。
そして、本人や家族が健康的な生活・人生を送っていけるような環境を作り、次世代に摂食障害の影響とされる生活習慣病リスク等を連鎖させないようにするのが、本プロジェクトの目的です。